良い話


715 :名無しさん@おーぷん 2015/07/04(土) 15:38:57 ID:WFP
他のスレにもちらっと書いたんだけど、姉夫婦に子供が生まれることになって
それまで飼っていた猫(15)をどうするかって話が出た。
老猫だけどまだボケもないし、ちゃんとトイレもできる。
たまにゲーするけど、それは猫にはまああるなって程度で健康には問題ない(獣医のお墨付き)
ただやっぱり多少のにおいや抜け毛はどうしたって出てしまう。
姉はそれを嫌がって、姉夫に猫を「処分して」と詰め寄った。
母親になろうとする女の口から、いくら猫とはいえ命あるものを「処分」するなんて言葉が出たことに
姉夫は愕然とし、それで喧嘩して、臨月なのに離婚騒動に発展。

姉夫の実家はペット不可の賃貸マンションに引越してたし、姉の実家(=私実家)は猫大嫌い。
そこで白羽の矢が立ったのが、猫大好き一家の私。

何の連絡もなく「この子を頼みます」の一筆とともに、キャリーバッグに猫を入れて私の家の前に放置しやがった。
だけどうちの家もペット不可の借り上げ社宅。
玄関前で「なーなー」と猫が鳴くのを他の社員に見つけられて、即座に管理人に通報された。

すぐに猫を返しに行ったら、姉夫は知らなかったらしくて、土下座する勢いで謝罪された。
でも姉には「お前が飼え」「本望だろう猫狂い」とヒステリックに叫ばれた挙句、
どういう理屈か、私が鬼みたいな言い方をされてこっちもキレてしまい、猫を自宅につれて帰った。
だけど猫をうちに置いておくわけにも行かない。
猫嫌いな実家にだめもとで相談されたら「猫なんて杀殳してしまえ」と暴言を吐かれたのであきらめた。
夫が会社に頼みこんで、特別に1週間だけ猫を置いてもいいという許可をもらったけど、それ以降どうするか悩んだ。

ところで猫大好きだけど飼えない我が家には、家族そろって常連の猫カフェがある。
そこのオーナーに相談したら、猫の行き場が決まるまで、猫カフェで預かってもらえることになった。
お客さんの相手をさせるのではなく、奥の部屋に置いてもらうって形。
「健康管理もしっかりするから安心しな!」と頼もしい言葉をもらったのでお任せさせてもらった。

で、うちは近々、中古で家を買うことになっていて、候補を3つに绞る段階までいっていた。
「老猫のためにも早いほうがいい」という私夫の英断で、その中のひとつに決めてすぐに契約。
既にローンの審査は通っていたうえにリフォーム済み物件だったので、簡単な清掃だけですぐに入居できた。
同じ学区だから、子どもにも夫の通勤にも影響なかったしね。
不動産屋が驚くくらい怒涛の勢いで契約→引越しして、猫を新居へ迎え入れた。
うちの息子(10)が狂喜乱舞してた。

本当は新居の一部は将来、私両親との同居のために使うつもりだったんだけど(夫両親は鬼籍)
今回の騒動で私両親のアレっぷりも露呈してしまったので、同居は取りやめ。
その部屋を家族総出で改造し、老猫のためのバリアフリー部屋にしてしまった。

姉夫が「猫の養育費」といってお金とキャットフードを持ってこっそり遊びに来てくれているのは姉には内緒。



132 :可愛い奥様 2014/02/23(日) 01:55:25 ID:5jOZczHF0
夫の単身赴任で自分が一人暮らしだった頃、近所のとある外飼い猫♂に異様になつかれた。
高価そうな首輪をした子猫だったが、エサもやらない我が家に、夜毎に来ては爆睡していった。
そんなある冬、泊まりがけの出張中に予想外の大雪が。猫が心配で心配で、大急ぎで家を目指した。
家に着いたのは薄暮れ時、ドアノブは氷のように冷たい。向こうに待つのは、一人きりの暗い部屋・・・
「猫は」と見回したら、早くも「にゃ」と後ろで待っていた。地面の雪に、一直線の足跡。
撫でようと伸ばす手を待ちきれないかのように、猫は目一杯伸び上がって手のひらに頭をゴッチンスリスリ。
不意に幼児の姿が浮かんだ。「おかーさん帰ってきた」と、つないだ温かい手を嬉しくてブンブンする幼児。
「子供、いいかもなぁ」何かがフッと灯ったように感じた。

選択小梨夫婦だったのだが、夫に「子供をもってみないか」と相談してみた。そこから亀裂は始まった。
夫は「契約違反だ、そんな人間は信用できない」と。休まず働き続けて家に収入を入れる条件だったと。
私は、件の猫を連れて家を出ることになった。猫も成猫となって、飼い主の引越しに置き去りにされたのだ。

一人と一匹の暮らしはうっすら温かで、この大柄な猫はとても賢く優しく、決して私に怪我をさせなかった。
しかし外飼い時代に猫白血病と猫エイズに感染しており、そう長くは生きなかった。

猫を送った頃には、私もさらに年齢を重ねていた。
「ああ、また一人だ。これからも、多分」そう思った。薄暮れの道を、一人で歩いていくのだ、と。
その頃、動物好きな今の夫と出会った。望外の妊娠。夫は「おお、生き物が増える」と素朴に喜んだ。
無事に息子が生まれ、夫がつけた名前は、さきの猫の名とよく似ていた。
(例えば、猫「タマ」息子「タクマ」のような)夫は猫の名前までは知らず「画数で」と言ったが。

タクマはもう幼稚園児になった。お迎えにいくと「おかーさん」と大きな体で腕にぶらさがってくる。
先生によると、タクマはお友達にも決して乱暴せず、誰かが泣いているとそっとついててあげるそうだ。
タクマがタマの生まれ変わりというのは無理があるし、そうすると不思議な話でも何でもないのだが
薄暮れの道に「にゃ」と現れた温いものが人生を変えた、猫の日に間に合わなかったが、そんな話を。

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