216 :本当にあった怖い名無し 2020/01/22(水) 15:18:28
郷里の鎮守社の神様は、年に数度地域を見廻る。
その姿を見た者は罰が当るというので、その日はよるに外に出ないように気をつけている。

神様は基本見えないんだが、天候によっては靄や雨に紛れて輪郭がうっすら見える
泥濘や雪の上に足跡が見える ということが起こる。

俺の叔母が、小さい頃に見た事があるらしい。12月の30日で、夜中に目が覚めたら雪が止んで月が出てたそうだ
宮沢賢治みたいだ。と思った叔母はそっと家の外に出た。
積もった雪の上に、足跡が続いていたらしい。大きな足跡と、その脇を歩く小さい足跡。あと、動物の足跡もあったそうだ
で、ドキドキして家に戻った。その時は神様のだとは思わなくて、郷里の誰かが散歩でもしたのかと思ったらしい。
年末で、都会に出て他人も家族連れて帰ってきてたりしたから。

正月の大晦日、日付が変わる頃に家族で初詣に行った。地域の人も集まってて並んで開門を待ってた。
そしたら、叔母の頭の上に叔母の頭の上に衝撃。見たら、松ぼっくりが落ちてた。
参道に松はないのに。と思ってたら、今度はドングリが当った。
初詣を終えて、神社で貰った甘酒には松の葉が入っていて、みかんは渋かった。
泣きそうになってたら、神社の神主の奥さんがそれ見て、叔母を社務所に呼んだ。
叔母と祖母が入っていくと、神主を呼んで来て、祝詞を上げてくれたらしい。
その時に始めて叔母は、見たのが神様の足跡だと知ったんだと。

「神様は姿を見られるのを嫌う。人間は何かを見るとすぐに理由をつけたがる。
理由をつけられた神様は、神様の力を弱めてしまうので嫌がるんだ。今度から気をつけなさい」

そして、祝詞の後に甘酒とみかんを貰って帰ってきたそうだ。
松ぼっくりやドングリを落としたり、甘酒やみかんを渋くしたのは神様の罰だったらしい